▽にやつく
「大好きです。ずっと見てました。
話しかけたくても貴女には近付けなくて、情けないですがこのような手紙という形で言わせてください。
カミヤさん、大好きです」
どこかの臭いラブソングのようだったが、自分の気持ちを素直に書き著したらこうなってしまった。それにしても、シャーペンを置いたあとの恥ずかしさといったら!
一枚の便箋を、封筒にそっとしまう。部屋の隅にあるゴミ箱には、これまで破り捨てられてきた数々の便箋。頑張ったぞ、俺。
鞄のなかに丁寧にしまいこむと、俺は解放感からベッドに飛び込んだ。明日はいつもより早く起きよう。それで髪型をしっかりセットして、髭も剃って、制服にアイロンかけて。
遅刻しないギリギリの時間まで寝ていられるようにと、七時半にセットしてある目覚まし時計のねじを巻き直す。よし、なんだかいけそうだ。
ーーーへへっ。