▽わたしの名前は少女A
わたしとあなたとの距離は、たぶん何億キロもある。今あなたは目の前にいるんだけど、そこに分厚いガラスの壁があるような、そこからぶつりと空間が途切れているような。
異世界の人間、とでも言えばいいのかな。わたしとあなたとじゃ住む世界が違う、そんな気がする。目の前にあなたがいることが奇跡に感じてしまう。
それは手を伸ばしても届きそうにないくらい、遠い。でもそれが当たり前だってことは痛いくらいわかっているつもりだ。人気者のあなたと、わたしとじゃ。
あなたのストーリーのなかで、わたしは同じクラスの女の子でしかない。名前を与えるならそう―――“少女A”。
少女Aは自嘲気味に笑った。