赤い真
黒い嘘

『ライアー、ライアー』


いつもの公園のベンチ並ぶ、赤い服と黒い服。距離は変わらず其処にあって夕日が二人の間に橙に光を伸ばして居る。
「明日、星に帰るヨ」
赤い服の少女が小さく呟く。その青い眼は真っ直ぐ前を向いていて赤い眼とは交差しない。
「へぇ。それ、エイプリルフール?」
夕日を受けて赤い眼を眇めた少年がまだ少し青の残る空を見上げる。
「うん」
こくりと一つ頷くと微かに紫の番傘が揺れる。青い眼はゆるりと落ちている遊具の黒い影を見つめる。
「明日から俺も京に遠征なんでさァ」
視線の交差は未だ無く、互いの表情を見る事は無い。お互い言葉に全てを委ねる。
「うん」
また紫の番傘が揺れる。少ない言葉が黒い影に落ちる。
「もう会うこた無いんだねィ」
空の青が橙に浸食されて薄ら白が藍色を滲ませる。赤い眼を眇める必要も無さそうだ。
「うん」
黒い服の少年がゆっくりと立ち上がる。赤い服の少女は座ったまま見上げる。言葉を口にする前に少年が口を開いた。
「じゃあ、また明日。その服着て慣れねー嘘吐くんじゃねェよ、馬鹿」
鼻で笑うと立ち去る。その背中に向かって声を上げた。
「テメーこそ、その服着て分かり難い嘘吐くんじゃねーヨ。馬鹿!」


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