臨静/日々デリ前提
デリ静デリ
珍しく緩い性描写有。
本日、津軽は外泊をしているため、平和島静雄宅には部屋の主である静雄と、デリックの二人きりであった。
もう一人の住人津軽がどこに外泊しているかはいわずもがな、静雄の恋人である折原臨也宅の、サイケの元である。
なぜ津軽だけが彼らの元に泊まり、静雄とデリックが泊まっていないのかというもんだいは、そもそも3組が使えるほどのスペースがないということである。
「なにに」使うスペースか、そして床でも風呂でもキッチンでもどこでもすればいいじゃないか、などという話は彼らの恋人たちが総じて「大切に扱ってあげたいから」という回答をしたということだ。
しかし、静雄とデリックは今回津軽と一緒に臨也の家に泊まらなくてよかった、と心から安堵している。
場所は違えど、昨日行為をいたしてしまったばかりなのだ。
腰はずきずきと痛むし、体はだるい。そんな体をしたなかよしこよしな静雄とデリックは、現在せまい浴室にいた。
「マスター、かくしてちゃだめだって…」
「や、でも…っ恥ずかしいっつーか」
「俺しかいないのになんで恥ずかしいんだよ、ほら、体洗ってやっから…」
「っ…、」
女性が胸から下半身に掛けて体をかくすように、静雄はタオルを体にあてていた。
昨日の行為で臨也に付けられた跡がいくつも残っている体を、可愛いデリックに見られたくないという親心のようなものからである。
勿論、静雄はデリックが日々也とそういった行為に至っているということは臨也から情事中に聞かされて知っているけれど、やっぱり自分がそういった痕をみせるのはマスターとしてどうなのだろうかという静雄の変にまじめな性格がうかがえる。
デリックが半ば強引に静雄の体を隠していたタオルをはぎ取ると、静雄の体には至る所に臨也が付けた痕がのこっている。
デリックがそれを見つけ、僅かに目を丸くしたのを感じ、静雄の頬は朱にそまった。
「マスター、これ、臨也に付けられたのか…?」
「ふぁ、っ…」
そっと、デリックの細くなめらかな指が静雄の胸元を撫でる。敏感な静雄が声をあげれば、デリックは喉を鳴らして笑った。
そして、ひとつひとつ、痕を数えるように指を這わせていく。
「やっぱり、可愛いなマスターは。臨也が好きになるのも分かる」
「っ、馬鹿いってんじゃねえっ…、おまえも、ついてんじゃねえか」
「あ、見つかっちまった?日々也はできるだけ見えねえ所に付けてくれるけど…やっぱ、裸になっちまったらそりゃ見つかるよな」
そう、デリックの肌にも静雄と同じように昨日行われた行為の痕が残っているのである。
デリックの場合、上半身よりも下半身に多いのは日々也が忠誠を誓うためなどと言い脚への愛撫を好むからである。
もちろん、デリックの性感帯のひとつが脚であるからという理由もあるのだが、デリック自身はその事実にまったくもって気付いていない。
こんな会話を繰り返しながら髪や体を洗い終えると、二人はそろって狭い湯船に体を浸ける。
浴槽の端と端に、お互い向き合うようにしてすわるのが平和島宅での暗黙のルールだ。横向きにならんでしまっては脚を伸ばせないし、なにより無駄なスペースがあるように感じてしまうからである。
いつも通り、両端に向かい合って脚を伸ばして座っていると、事件は起きた。
「っぁ、ばっ…あし、当たってっ…」
「当ててんだよ、なあマスター?昨日はどこでヤったんだ?」
「な、っで言わなくちゃいけねえんだよ…っ」
「マスターのこといっぱい知りたいから」
ぐりぐりと温かいお湯の中でデリックは静雄の脚と脚の間を自分の足で刺激しつつ、静雄へにやにやといやらしい笑みを浮かべながら質問をする。
静雄にとっては悲劇的な状況でであり、羞恥プレイと浴室プレイとその他もろもろが同時にやってきたようなもので、どうにもこうにもこの状況から脱出したいものである。
静雄はただデリックの意思をもった足の動きに小さく声を漏らしたり、唇をかみしめて耐える。
だがしかし、静雄も負けず嫌いだということをデリックは失念していた。だからこそ静雄の恋人である臨也は静雄を手に入れるのに何年もかかったということを。
静雄のすらりとした脚が、現在デリックの足があるちょうど反対側へと伸びた。
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