差出人:シズちゃん
件名:明日
本文:何時
ピ…
宛先:シズちゃん
件名:覚えてたんだ(笑)
本文:そうだなあ、13時くらいに君の好きなファストフード店でどうかな
ピッ…
差出人:シズちゃん
件名:re:覚えてたんだ(笑)
本文:ん。
ピッ、ピッ…ピ…
携帯のボタンを押すたびに漏れる電子音とともに、俺はシズちゃんからのメールと自分の送信メールを見返す。
明日は、もう今日になってしまっているけれど…そう、今日はシズちゃんと2度目のデートの日だ。
この前のデートではシズちゃんと二人でただレイトショーをみて、じゃあおやすみ、って別れただけの単純なデート。でも今回は昼間のデートということもあって、人目につきやすい分少し緊張する。柄にもないんだけれど。
早く朝が来てほしい、こないでほしい。
「あ、おっそいよシズちゃん」
「あ?…わりぃな」
「といっても、まだ5分前だしねえ…シズちゃんも、俺と会うの楽しみにしてくれてたんだ?」
「うっせぇ、そんなんじゃねぇよ」
少しからかうとシズちゃんは顔を赤くしながら悪態をつく。そんなシズちゃんの髪を撫でてお金を渡し、小さく礼をいってレジに向かう恋人の背中を見つめながら10分前から待機していて良かったと、ホントに思う。つまり待ち合わせの15分前に来ていたわけなんだけれど。
ありきたりなドラマや漫画のワンシーンで彼女が先に来て男が「わるい、遅れちまって」「おっそーい。しんぱいしたんだからね!」なんてやり取りをするのがすごく嫌いなんだよね、おれ。まぁ先ほどこんなやりとりしたけれど…逆だったらシズちゃんは確実におせぇんだよ死ねよノミ蟲なーんていうんだから。
「シズちゃん、良い天気だし中央公園でも行かない?日向ぼっこすきでしょ」
「ああ、良いな…って、なんでそんなこと知ってんだよ」
「情報屋、舐めないでくれるかな。ま、情報屋とかじゃなくてもシズちゃんのことならなんでも…って、そんな嫌そうな顔しないでくれる?」
ポテトを口に運びながら眉間にしわを寄せてこっちを見てくるシズちゃんに大げさに肩をすくめて言うと、さらに皺が深くなった。せっかくの綺麗な顔が大なしだよ、というと俺の手が天に召される寸前になったわけだけれど。
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