※日々デリ
「ちゅどーん!」
「わ、サイケ、すごいな…!」
「えへへ、ゲームはとくいなんだよ!」
「お、兄貴。なんかでてきたぞ」
俺が画面を指差した瞬間に現れたのはマスターにそっくりな、白馬に乗った胡散臭い王子みたいなやつだった。
「なんだこいつ……」
「マスターに、そっくりだね!」
「そっくり、だ」
呆れて画面を見つめる俺と二人揃って頷く兄貴と津軽先輩をよそに画面に映る胡散臭い奴は話し始めた。
《やあ、私の王国を救ってくれて本当にありがとう。》
《君たちは本物の勇者だ!》
「兄貴、津軽先輩。俺ちょっとムカつくから行ってくる」
「だめだよデリちゃん、マスターとは別人だよ!」
「そうだ、ぞ…いい奴かもしれない」
俺を必死で止めようとする二人を無視してゲーム世界に入り込む。
ああ、早くこいつを殴らねぇと気が済まない気がする。なんか胡散臭いんだよいまどき白馬になんて乗りやがって。礼を言うなら馬から降りて言えっての…
「おいコラ…アンタ王子だかなんだか知らねぇけど…」
「おや、これはこれはかわいらしい勇者様だ。いや、お姫様…かな」
くすり、と笑って馬から降りてくる王子もどき。ああ、俺はやっぱりこいつの胡散臭さが嫌いだ。
自分でも自然と眉が寄るのが分かる。
「おや、緊張しているのですか?体が強張っていますね」
「誰がだ…アンタと話してると苛々するんだよ」
「そうなのですか?勿体ない…私はあなたのような方の綺麗な笑顔が見てみたいものですが」
こちらがいくら苛々しようが相手は関係がないようで的を得ない答えだけが返ってくる。
「どうせ、どこの奴にでも言ってるんだろ?」
「そんなことはありませんよ?私は本当に綺麗な方にしか綺麗などと言ったりしませんし……たった今この瞬間までで私が誰かを綺麗と形容したのはたった一度きりです、この意味はお分かりになりますか?」
「は……?意味わかんねぇ…アンタ、マスターと同じで面倒だな」
「ふふ、そうかもしれませんね。でも……面倒な奴だと思うほど、私と話していただけるならそれで構いません」
コイツは一体何を言っているのか。俺にはまったく理解ができない。
ムカつくというただそれだけの理由でここに来たはずなのに、俺の核がカタカタと音を鳴らし始めたような気がした。
「そうですね、単純に言えば私はあなたに恋をしてしまったのかもしれません。だからどうか、」
(面倒な私とこれからも話していただけませんか?)
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ああああナンダコレ、全く分からんですというか日比也さんよりデリたんの口調が全く定まっていない…!
初めての日々デリは失敗のかほりですねぐすん。
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