《しーずちゃん、》
「…臨也?」
トムさんが取り立てをしているのを待っていたときになった電話に出てみると、臨也の声がした。
《今、どこにいるの?俺池袋に来てるんだけど》
「…それをなんでわざわざ電話してくるんだよ」
《そんなのシズちゃんに会いたいからに決まってるじゃない》
なんで、こいつはこういうことをサラッと言うんだろうか。だが生憎俺は仕事中で。
すまねぇ、と言おうとしたときに金を数えながらトムさんがこっちに向かってきた。
「おー、静雄。集金おわったぞー」
「あ、はい。すんません」
《え、シズちゃん今トムってやつと一緒にいるの?》
耳元からは臨也の少し低くなった声が聞こえてきた。こいつはなんで怒っているのか、俺には理解できない。
「すまねぇ、今仕事中だから後でかけなおす」
「あー…、これで今日の集金は終わりだし、もうあがっていいぞー?」
「え?いやでも後一件あるんじゃ?」
「ねぇって。それは来週に変更だ…それと、お前明日は休みにしとくから」
そう言って右手を挙げて去っていくトムさんに軽く会釈をすると、もう一度受話器の向こう側の臨也に話しかけようと携帯を耳に当てる。
何も聞こえない携帯に違和感を感じ、画面を見てみると通話が切れていた。
「…指当たっちまってたかな」
そのまま煙草に火をつけようと煙草をとりだすと、もう一度携帯が鳴った。
《……………》
「臨也?」
「《見つけた》」
携帯を当てている右耳から聞こえた声と、携帯を当てていない左耳から声が同時に聞こえた。
ふと顔をあげると、そこには息を切らした臨也がいて。
「おま、どうやって…」
言い終わる前に、臨也に抱きつかれた。
「……浮気しないでよ」
「んなもん、してねぇよ」
「トムって奴といたじゃんか」
「仕事に決まってんだろ」
「………、ほんと?」
「おう」
「じゃあ許すよ、シズちゃんは誰にもわたさないんだからね」
そう言って腕の力を強めた臨也に少し幸せを感じながら、「どこにもいかねぇよ」と呟いた。
(そういやトムさんが明日休みにしてくれたって)
(へぇ、あいつもたまには役に立つんだね)
(………なんでお前そんなトムさん嫌ってるんだ?)
(え。まだ分かってないの?)
♂♀
なんか静臨みたいになりました。でも臨静なんだよ信じてください←
嫉妬する臨也がかきたかった訳ではありません。臨也が静雄に会うために定期券買ってたら可愛いなって思ったんです←
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