ペンロ(海賊)



:)手をつなぐ話

不意に触れたそれが人間の、それも船長の手であると察するには時間を要した。何故ならば彼、トラファルガー・ローという人間はそういった行動に出ることはまずなかったからだ。てっきり、人を攻撃することしか知らないとばかり思っていた。今も払拭しきれないその思いが未だかつてない機会にも関わらず手を握り返すのを躊躇わせている。船長が笑う。ニヤニヤと、笑う。
「指の関節に異常があるかもしれねぇなぁ、握り返せない位握力が低下してる可能性がある。その場合メスを」
「すみませんでした」

生々しいグロテスクな治療法をこと細かに伝えられる前に早急に手を握り締める。寝不足気味で淀んだ目が俺を見る。その場の勢いってものを思い知った。散々戸惑い躊躇していた割に唇はあっさり船長の頬に到達していた。しまった、そう思ったときは大抵手遅れ。無論今回も例外ではない。船長に胸倉を掴まれて、もう逃げられない。

「手繋いで、いきなりキスかよ」
「船長結構純情なんですね」
「順序を大事にするだけだ」
「順序も純情も似たようなもんでしょ」
「それもそうか」




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