【青帝?】ねぇ帝人先輩何ですかこのグラスまさか自分で作ったとか言わないですよね(ry


学校から帰ると、家の前でニコニコしている後輩がいた。
「帝人せーんぱいっ!」
「なんで青葉くんがここにいるの」
「帝人先輩の家に遊びに来ちゃいました☆」
「なんか君って、張間さんっぽいところあるよね」
「張間先輩っぽいってどのへんですか?張間先輩が矢霧先輩を愛し合ってるみたいに、僕が帝人先輩を愛しちゃってるあたりですか?わぁい嬉しい」
「ううん、ストーカーだよねってこと」
「嬉しいです!」
「前言撤回。張間さんのストーカーに加えて、なんていうかキモいよね」
「ありがたいです!」
「・・・・・」
そんなことを言いながら、後輩はアパートの階段を付いてくる。犬だったら千切れんばかりに尻尾を振ってるんだろうな、ってぐらいの幸せそうな顔で。
「お邪魔しまーす」
「上がっていいって言ってないよね?」
「じゃあ許可してもらえるまでドアの外で立ってます!」
「いいよ、キモいし迷惑だから上がって」
「ありがとうございます」
帝人はもううんざりしていた。さっさと帰ってくれないだろうか。
嫌そうな顔をしてうんざりアピールをしながら、PCを立ち上げた。
「なんかそこらへんに適当に座ってて。で、気が済んだら帰って」
「じゃあ明日の朝までいますね」
「そしたら警察呼ぶから」
「わぁ、どうしよう!」
めんどくせぇ。
帝人は相手をするのをやめた。
すると、青葉は、部屋の中をうろうろし始めた。
これ何ですか、とか、オシャレですね、とか、いろいろ言ってくるので、適当にかわしていたとき。
「先輩・・・これ、何ですか・・・・?」
急に、青葉の声が冷静になった。
やっとPCから目を外し、青葉を見ると、その手には一つのグラスがあった。
「あっ、それは・・・!」
「この似顔絵、先輩と・・・・誰ですか?」
これはまためんどくさくなりそうだ。
帝人はため息を吐く。
「紀田正臣。僕の幼馴染みだよ。今は、どこにいるのか分からないけど」
「へぇ・・・。この人が・・・・。なんで今はどこにいるか分からないんですか?」
「今年の初めにいろいろあってね。でも、ネットでは連絡取ってるんだ。元気にしてるみたいだよ」
「そうなんですか・・・。あれ?」
青葉の目が、似顔絵の下の文字に止まった。
「Je t'aime de mon coeur・・・・・」
「「心から君を愛してる」」
二人の声が重なった。
「よく読めたね」
「僕の好きな映画に出てくるんです、この言葉。ところで先輩、このグラス・・・どうしたんですか?」
「正臣にもらった」
青葉の表情が硬くなった。
「そう、ですか・・・・」
次の瞬間、青葉はグラスを振り上げ、そして、
「ちょっと!」
帝人が床を蹴る。
グラスは、床に触れる直前に、飛び込んだ帝人の腕に抱きかかえられた。
「何すんの!」
「こんなもの、割れてしまえばいいんです」
「何言ってんの」
「こんなものがあるから・・・先輩は・・・先輩は・・・」
青葉の目から涙が零れる。
帝人は、グラスをしっかりと抱えたまま、青葉と目を合わそうとしない。
「悪いけど、帰ってくれる?」
「ごめんなさい・・・でも・・・」
「帰れ」
氷のように冷たい声が青葉に刺さる。帝人は相変わらず、青葉に背を向けたままだ。あのグラスをしっかりと抱えて。
「・・・失礼します」
いつの間にか、外は雨が降っていた。

「もしもし」
『これはこれは。若葉マークくんじゃない』
「あんたにお願いがある」
『一応敬語は使ったほうがいいよ?俺は君の七つは上なんだから。ところで、どうしたの?その喋り方から察するに』
電話の向こうの情報屋は、芝居がかった間を空けて、囁く。
『何かあったみたいだね』
「教えて欲しい情報があるんです」
『ふうん。何?』
「紀田正臣、についてです」
情報屋が高らかに笑うのが聞こえた。
『おもしろい。いいよ。特別にタダにしてあげよう。ちゃんと敬語が使えたご褒美にね』
雨は次第に勢いを増し、ザアザアと青葉を濡らす。
『そこの斜め前の喫茶店においで。入ってすぐ左のテーブルにいるから。あ、店を濡らしちゃ怒られるから、体を拭いてから入って来なよ?その鞄の中に、帝人くんの家から持ってきたタオルがあるよね』
「はい。ではまた」
青葉は電話を切った。

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