ある日の中学生達──parallel world 2.

「この小説が『作中作』ってのは、中にも書いてあるし、意味も載ってるからどんなのかってのはわかった。でも、なんであえて高校生とか大学生とか、これからの出来事書いてるの?」
 んー、と澪は少し考えてから答えた。ていうか何の気なしに書いてたのか。
「華麗なるあたしたちの未来予想図、みたいな」
「予想図じゃなくてほぼ確定しちゃってるじゃん。しかもあたし芸大行くなんてまだ考えてないし」
「もしこれが当たればたしはノストラダマスを超える!!」
「いやもうすでに未来確定図どころか予言書? 予言書なのこれ? しかもノストラダマスじゃないし、言うならノストラダムスだし。あとあたしまだ芸大行く予定ないって言ってるよね?」
「乗す虎騙すを超えた暁には、あたしが次なる地球滅亡の日を予言」
「せんでいい。ていうかむしろするな。誰だノストラダマスって」
「形あるもの皆必滅」
「あーもうわかったから。次行くからそのおかしなテンション下げて」
 何も考えずに書いていただろう所を見ると、どうやらあたしを煙に巻いて話を流そうとしたらしい。澪の策に乗るのはなんとなく癪だったけど、そこで反発せずに思い止まったのは、話が前に進まないし、追及して変えさせた所で、それはそれでまた一から書き直せというようなものだと気づいたからだ。流石にそれをさせるのは酷というものだろう。
 ただ一つ言わせてもらうるなら、まだ二つしか疑問点を挙げていないものの、そのどちらもが軽くあたしが被害者になっており、すっきりとした解消とはなっていない。ここであたしが澪を恨み始めたとしても、誰も文句は言わないはずだ。なにせ相手はいろいろ反則技を使っている。鬼ごっこをやっているとしたら、こっちは走って追いかけてるのに向こうは自転車の最速ギアで逃走しているようなものだ。最早唯我独尊を突き抜けて、唯我独走状態に入っている。
 そんな奴に対し、あたしはどう対応すべきか。無論、こちらも自転車なりスクーターなり使って、追いついて自転車を使えなくしてやればいいのだ。
 あたしは、やっと静かになった澪に向かって、やや低めの声でなげやりに言った。
「澪さぁ……ほんと今度からあたし使う時は事前に許可取らないと、もうあんたの原稿読まないからね。てか、読んだ後そのままシュレッダーとか焼却炉行きにするから。バックアップとかあっても、全部何も言わずに最初の原稿と同じ道をたどらせるから」
「ごめん、すみませんでした。次からちゃんとやるから許して」
 余程あたしの一言がきいたのか、澪は即座に頭を下げて謝る。
 ……ま、とりあえずはこれでいいか。もう一度やったら、今度は本当に学校の焼却炉に持っていって、灰も残さず焼きつくしてもらうけどね。
「じゃ、話を戻して三つ目」
 声のトーンを直して三本の指を立てたあたしを見て、澪はほっとした表情になる。

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