君を愛す(現代パロ、家三)
深夜零時を過ぎた頃に放送されるショッキング・ピンクの番組どもは、どれもチープでくだらないものばかり。三成が上半身裸のまま何とはなしに電源を入れたテレビは、『愛とは何か』なんて野暮ったい言葉を液晶画面に表示した。流行りから外れたグラビア・アイドルだかAV女優だかが四、五人で愛を語らっている。結婚だのプレゼントだの、女の口は形ある愛を吐き出していた。
愛とは何かなんて、今更だ。だって、愛とは、
「セックスだな」
いつの間に起きていたのか。ベッドの上から三成と同じく半裸のままものを言った家康の顔面に、三成は手加減なしの拳を叩き込んだ。引いた腕の角度、突きの速さ、捻り込み。見事なストレート。家康は顔を押さえて転がった。
「最低」
声にならぬ呻き声を上げる家康に溜め息を吐きながら、三成はテレビを消した。ぷつん、とピンクが黒に飲まれる。完璧にキメたはずの拳を『痛い』程度で受け止めた家康は、鼻を真っ赤にさせてへらりと笑った。
「だって、そうだろう?」
「貴様はもう喋るな」
喋るな、だなんて、いい誘い文句。どちらかの誘いに気づかぬほど薄い関係ではない彼らは、言葉を捨てた。
愛とは何かなんて、今更だ。ひとりがセックスなんてくだらないことを言うのなら、それに応えてやる。特別サービスまでつけて、飽きるなと釘を刺す。飽きるものかと倍返しのサービスに心臓をやられる。だって、愛とは、そういうこと。