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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
顔も見れない


「オーイ」


 校門を出たところでかかった声に、雅は立ち止まった。
 むすっとした表情で振り返る。


「何か用?」

「相変わらずつれねーなー。一人?」

「他に誰かいるように見えるなら病院行った方がいいんじゃない?」

「キツっ!え、いつもにも増してキツくね?」


 ガンと反応するものの、すぐにいつもの調子で笑って隣に並ぶ高尾に構わず、雅は歩き始めた。
 高尾もそれに怒るでもショックを受けるでもなく、さも当然のように横を歩く。
 分かってる。
 最近、彼女はわざと遅くまで残り、親友と先輩を一緒に帰らせていること。
 気を遣わせないように、用事だと称してずっと図書室で時間を潰していること。
 相変わらずの不器用ぶりに、思わず笑った。


「…何か面白い事でもあるわけ?」

「雅ちゃんの顔」

「凶暴犬に追いかけられてしまえ」

「ぶっ…何その中途半端な厭味!」


 どうせ言うならもっとキツイ例を出せばいいのに。
 優しい雅らしい例えだ。
 きっと彼女にとっては精一杯の厭味なのだろう。
 腹を抱えて声を上げれば、隣を行く雅のスピードが上がる。
 その後ろ姿に口を釣り上げて。


「オレ、最近帰り一人なんだわ」

「だから?」


 雅の、鞄を持つ手に力が入ったのが見てとれて、高尾は楽しげに目を細めた。
 一歩で早足の彼女に追いつくと、その力の入った手をとる。


「寂しーから、これから一緒に帰ろーぜ」

「…ッ」


 更に早くなる足どり。
 微かに握り返された手と真赤な耳に、抱きしめそうになるのを堪えた。





顔も見れない。


(オマエが行動で示してくれる分、オレは言葉で示してやるよ)
(本当は会えるのを期待してたなんて、言えない。口が裂けても言えない)


大好き。
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