◆
賑わう仮装パーティーの中。
相変わらずの人当たりのいい表情で近寄ってきた雅が、黒子のマントの裾を引っ張った。
思わず倒れそうになるが、それすらも見通していたらしい。
さりげなく前方に回った彼女に、両手を掴まれる。
「黒子ー、かぼちゃ彫って!」
続けて渡された彫刻刀とカボチャに、黒子は少し眉を下げた。
「こういうのは得意じゃないです」
「大丈夫、黒子が作ったものなら私は何でも愛せる!」
悪戯っぽく笑ってさらりと言い放った雅に、暫しの沈黙。
不意打ちにも程がある。
以前の不意打ちの口づけのお返しだろうか。
最近分かったことだが彼女は中々の負けず嫌いだった。
惚れた弱みというやつか、彼女には敵う気がしない。
しかし、やられっぱなしというのも男としてどうなのか。
「…飴凪さん」
「ん?」
楽しげに視線を向けてくる雅をじっと見つめる。
やはりこれは彼女なりの挑戦だろう。
一拍置いて、黒子は少し微笑む。
「―魔女、可愛いですね」
雅の頬が染まったのが目に見えて、嬉しくなった。
今回は自分の勝利で終われそうだ。
「…言うのが遅い!」
お得意のでこピンを喰らい、手で押さえる。
もう一度視線を合わせると、今度は同時に笑った。
「ほら、彫って彫って」
「何被せてるんですか」
「魔女帽子!これ絶対黒子のが似合うよ。かわいー」
「…男に可愛いはどうかと思いますよ」
少しは意識してくれないと困る。
ため息交じりに黒子はカボチャを彫り始めた。
これが終わったらまた不意打ちをかましてやろう。
黒子のこの誓いを雅が知るのは数分後。
カボチャは見ていた。
(今度こそ勝ってやる!)
(いくらでも受けてたちましょう)
愛の戦い。
賑わう仮装パーティーの中。
相変わらずの人当たりのいい表情で近寄ってきた雅が、黒子のマントの裾を引っ張った。
思わず倒れそうになるが、それすらも見通していたらしい。
さりげなく前方に回った彼女に、両手を掴まれる。
「黒子ー、かぼちゃ彫って!」
続けて渡された彫刻刀とカボチャに、黒子は少し眉を下げた。
「こういうのは得意じゃないです」
「大丈夫、黒子が作ったものなら私は何でも愛せる!」
悪戯っぽく笑ってさらりと言い放った雅に、暫しの沈黙。
不意打ちにも程がある。
以前の不意打ちの口づけのお返しだろうか。
最近分かったことだが彼女は中々の負けず嫌いだった。
惚れた弱みというやつか、彼女には敵う気がしない。
しかし、やられっぱなしというのも男としてどうなのか。
「…飴凪さん」
「ん?」
楽しげに視線を向けてくる雅をじっと見つめる。
やはりこれは彼女なりの挑戦だろう。
一拍置いて、黒子は少し微笑む。
「―魔女、可愛いですね」
雅の頬が染まったのが目に見えて、嬉しくなった。
今回は自分の勝利で終われそうだ。
「…言うのが遅い!」
お得意のでこピンを喰らい、手で押さえる。
もう一度視線を合わせると、今度は同時に笑った。
「ほら、彫って彫って」
「何被せてるんですか」
「魔女帽子!これ絶対黒子のが似合うよ。かわいー」
「…男に可愛いはどうかと思いますよ」
少しは意識してくれないと困る。
ため息交じりに黒子はカボチャを彫り始めた。
これが終わったらまた不意打ちをかましてやろう。
黒子のこの誓いを雅が知るのは数分後。
カボチャは見ていた。
(今度こそ勝ってやる!)
(いくらでも受けてたちましょう)
愛の戦い。