(雪の話/風丸と吹雪)
「えーと‥‥どうかしたの?寒いから、部屋に入った方がいいと思うよ」
「‥‥‥吹雪か」
「体、冷えちゃうよ」
「ゆき」
「え?」
「雪、あんまり好きじゃないんだ」
「‥‥どうして?」
「雪は、何もかも吸い込んで、消し去ってしまう。音も、熱も。怖いんだ、それがいつか自分まで消してしまうんじゃないかと思うと」
「そう、かな。本当に雪は‥‥ぼく達から何かを奪うだけなのかな」
「‥‥‥」
「ぼくはね、雪からいろいろなものを貰ってるよ。楽しいことだったり、役に立つことだったり。サッカーの技術だって、雪に教わったようなものだし」
「‥‥‥」
「それにね」
「他にも、あるのか?」
「もちろんさ。雪に教わることで1番大切なこと。雪は、ヒトの‥‥ううん、生き物の温かさを教えてくれるんだ」
「生き物の、温かさ」
「そう、ほら見てごらん、雪が溶けてく。ぼく達が生きてる証拠だよ。それにね、」
「‥‥‥?」
「かぜまるー、ふぶきーっ、んなとこいると風邪ひくぞ!飯、できたから早く来いよな!」
「はーい、今いきまーす!‥‥‥ね?」
「ああ‥‥温かい、な」
「ほら、早く皆のところに行こう」
「そうだな、腹も減ってることだし」
「‥‥雪、まだ嫌い?」
「いや‥‥‥お前のお陰で好きになれそうだよ」
「なら、良かった」
銀世界にたゆたう青
(090601)
*** 情景描写とか書きたかったけどとりあえず会話文で
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