稲妻sss | ナノ
 













ある日の朝、半田真一は息を切らせてアスファルトの道路の上を走っていた。横を過ぎ去る景色は、いつも歩いて通る時のものと同じ。普段より早く過ぎていくそれをさして気にも留めずに走る。


「はあ、はっ‥‥やっばい、時間ギリギリかな‥‥‥」


肩からかけた鞄が揺れて、体に当たる。カーブを曲がり、もう目的地はすぐそこだというところまできて、減速する。フェンス越しに見えるグラウンド。そこで各自ウォーミングを始めている少年達を見て、彼の足は完全に止まった。
なんだか変な感じだな、と思った。キャプテンの「集合!」という声が、ここまで聞こえてくる。何故だろう、早く行かなければならないのに、目を離せない。
そんな時、ぼーっとしていた真一の隣に足音と共に人影が現れる。そこにいたのは、自分と同じくらいの背格好をした少年だった。


「何見てるの?」

「えっ、あー‥‥」

「あ、サッカー部か」

「うん、まぁ」

「というか‥‥君もここの中学のサッカー部所属、だったりして?」

「よ、よくわかったな」

「なんとなく、ね」

「そういうお前はなにしにきたんだ、ここの‥‥雷門の生徒じゃないんだろ?」

「そうだなぁ‥‥ちょっと、感動の再会をね」






(君の隣を歩くために、今度こそは優しい真実を)


(110225)