いくら虚像であると言われ続けても、私にとって、それは真実にしかなり得ない。彼が目の前に存在して、私に、笑いかけるのだ。世界がぶれることなく、終末へと向かっていくのだとしても。私と彼が存在し、私が彼を愛しているというその事実だけは変わりようがない。 たとえそれが、 だったとしても。
「お兄さん、何してるんですか」
「え、っと」
「‥‥ああ、サッカー部、見てるのか」
「うん、まあ‥‥」
「もしかして、ここの中学のサッカー部のOBとかだったりして」
「よくわかったな」
「はははっ、オレってエスパーなのかもしれませんね」
「そういうおま‥‥君は、雷門に何をしにきたんだ?」
「ちょっと、感動の再会をね」
(それは言わば、世界の始まり)
|