(いつもと同じ特別な日の話/半一)
「あつい」
「そうかな?ちょうどいいくらいだけど」
「あつい」
「‥‥それなら離れたらいいのに」
「嫌だ」
「わがままだなぁ、半田は」
「俺のせいじゃない。一之瀬が悪い」
「そんな無茶苦茶な」
「一之瀬が、かっこよくて、かわいくて、愛しいのが悪い」
「よっぽど暑いのか頭、逆上せてるみたいだけど‥‥平気?」
「いつも俺はこんな感じだって」
「ははっ、顔真っ赤!」
うるさい!と言って立ち上がり、椅子に腰かけているオレに真っ赤な顔を近づける。掠めただけのキスは、一瞬で過ぎ去った。ぽかんとした表情を浮かべていたであろうオレからは目を逸らし、未だに赤に染まっている顔を左腕で隠す。そんな彼を、とても愛おしく思った。今日は、実に良い日である。
(100616/半一の日)
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