(歪んだ告白の話/ガゼバン)
「‥‥全て、なくなってしまえばいいと思った」
「すべて?」
「そう、全て。私を取り巻く環境も、私が生きているこの世界も、なにもかも」
「地球が爆発すりゃいいってことか」
「少し違うな。地球が爆発して宇宙を漂う塵になっても、もしかしたら広い宇宙のどこかで私という生命が生きているかもしれない」
「めずらしいな」
「何がだ?」
「少なくとも普段の涼野風介なら、そんな軽々しく『もしかしたら』なんて言わねえな」
「ああ、確かに。しかしだ、今私はこれ以上ないというくらいに現状を打開したい、この一種の呪縛のような感情から逃れたいという思いでいっぱいなんだ」
「だから頭が上手く動いてくれないと」
「そういうことになる」
「はっ、てめえのお堅い脳みそをここまでゆるゆるにしてくれてる感情っつーのは一体なんなんだろうな」
「面白いまでに私の頭を蝕むんだ」
「人か?」
「‥‥ああ」
「まさか、ははっ、面白ぇ!あの涼野風介でも人に掻き回されることがあんのか!」
「毎日毎日掻き回されている。正直このままだと死にそうだ」
「おーおー、死んじまえ」
「私が死んだところで何も変わらない」
「ああ?どうしたんだよ涼、野‥‥?」
「つまりはこういうことだ」
死にたくないので 殺します でも愛されたいので やめておきます 最終的には二人で逝けば すべてはまるくおさまるのです。
(100329)
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