稲妻sss | ナノ
 




(空腹の話/松半)








「はんだぁ、お腹減った」

「ふーん」

「うわっ相変わらず冷たいよね、冷血漢だ冷血漢」

「なに、マックスは俺に何を望んでるんだよ」

「食べ物」

「雑草でも食べてろ」

「ひどーい!駄菓子屋寄ってこうよ奢ってよー」

「嫌だよ!俺にたかるな!」

「半田のくせに、そんな生意気言ってると食べちゃうぞ!」

「人間の肉ってまずいらしいぞ」

「知ってるよ。でも半田の肉は人間の肉じゃないからね」

「え、それは俺が人間じゃないって言いたいのか?なにこれ新手のいじめ?」

「違う違う、僕は真面目に言ってんの」

「どこが」

「だからさぁ、半田は僕にとってただの人間じゃなくて大好きな人間だから、たとえ人間の肉がまずくても半田のなら美味しく頂けますよーってこと。どう、なんかロマンチックじゃない?」

「いや、ものすごくグロい。というか大好きなら食っちゃダメだろ現実的に」

「あははー、良かったね半田、僕が『愛する君と一緒になりたいから一思いに食べてしまおう!』とか言い出すようなぶっ飛んだ思考の持ち主じゃなくてさ!」

「うん、本当にな‥‥」




(だってぼくらに狂愛は似合わない、そうだろう?)



(100319)