(始まらない恋の話/豪→円)
「頼む風丸、数学の宿題教えて!」
「またわからなかったのか?」
「えーと、ちんぷんかんぷん」
「まったく、仕方ないな。ほら、見せてみなよ」
「サンキュー風丸!で、ここなんだけど」
「どれどれ‥‥あぁここなら一回わかれば簡単だよ。これを代入して‥‥‥」
交わされる会話。 窓の外をぼーっと眺めながらそれを何気なく聞く。 問題が解けたのだろうか、嬉しそうな声があがる。 ふと声の方に目を向ければ、太陽のような笑みを称えた顔があった。
(その笑みも、その視線も) (全てが俺だけのものだったら、どんなによかったことか) (‥‥馬鹿馬鹿しい、)
(090602)
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