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任務帰りの車の中から街の雑踏を眺めていた名前が突然ぽつりと口にした。「逃げなきゃ。」「?」



「名前ちゃんは、さてどこかな」
真っ暗な廃ビルの中を、針金のような男がしっかりとした足どりでつき進んで行くのを見送って、のそのそと名前とスクアーロは瓦礫の下からはい出た。なんで逃げているのかと自問しているスクアーロを余所に、名前は気配を押し殺して、先程の針金のような男が進んで行ったのとは逆に歩き始めた。
「う゛お゛い、なんで俺たちは逃げてるんだ?おまえの兄貴から。」
「わからないけど嫌な予感がします。…もらった服を一度も着ずに塵にしたからかしら。」
「わかってんじゃねぇか!う゛お゛ぉい!しかもそりゃお前が悪い!」
「大きな声を出さないでください。馬鹿ですか。」
「謝りゃいいじゃねぇか。」
「そしたら今度は別な服をいただくことになります。」
以前、あまり家族のことを話さない名前がぽつりと血は繋がっていないのだと言ったのを思い出し、普段自分やレヴィにたかっている名前が家族には遠慮をするのかと、なんだかもやもやとしはじめた時だった。
「見つけたよ、名前ちゃん。」
「げっ」
「その男が誰かっていうのはとても気になるけど、とりあえず後回しにしようか。ほら、この前の服は気に入らなかったみたいだから今日は少し方向性を変えてセーラー服にしてみたんだ。名前ちゃんにとてもよく似合うデザインだよ。もちろんスパッツは無しだけど、ニーハイを持ってきたから安心「 で き る か ぁ ! セーラーって!もう!今私いくつだと思ってるんですかっ!?この前の本職用メイド服のがまだマシ!」
何の会話だ。急いで駆け出した名前に掴まれた手を見つめながら、スクアーロは悟った。家族のことを話さないわけでも遠慮しているわけでもないのだ、と。とりあえず挨拶しなければとあまり追いついていない頭でぼんやりと考えた。彼は知らない。その"挨拶"がとても骨を折るだけでは済まないということを。



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遅れてしまい大変申し訳ないです…。ギャグ風味に…なってますかね…?ギャグって書くのは好きですが、ちゃんと笑えるのかとても不安です…笑えない…

何はともあれ、リクエストありがとうございました!

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