つい最近までは息を吐けば白く濁っていた空気も、今ではそんなことはなくなって、心地好い春の風が頬を撫ではじめる。空港までの道を歩きながら、通りすぎて行く高校生を横目で見てはなんだか微妙な気分になる。 「う゛お゛お゛お゛い、どうかしたのか?」 「…ん、なんでもなーい。」 「名前」 「ん?」 「本当に一緒に行かなくていいのかァ?」 「うん。まだイタリア語完璧じゃないし、少しは自分で稼ぎたいし」 「そうかァ…」 「うん。そう」 でもさ、と、間をもたせながらゆっくり話す。言葉を選ばないと、いらないことまで言ってしまいそうで怖い。例えば、 「浮気は、駄目だからね」 連れてって、とか。 「う゛お゛お゛い…当たり前だろうがァ」 「ですよねぇ」 自分で決めたことなのに揺らぎそうになる。もう、あと数日すれば社会人なわけだし、甘えてばかりは一番駄目なのに。でも、離れたくない。スクアーロも同じことを思っていてくれたらいいのに。 「必ず迎えに来てね」 「言われなくても行くぞ俺はァ」 「待ってる」 いつの間にか着いてしまった空港で、静かに見つめ合った。このまま時間が止まればいいのに。私の左手の薬指に唇を落として何も言わずに去って行くスクアーロに見合うくらいには、キザっぽい大人を演じられていたかな。苦手な掃除も料理も頑張るから、一緒に住むときは驚いてくれればいい。私はスクアーロが驚いて叫んじゃうくらい凄い勢いで追いついてみせるから、だから、迎えに来てね。それまでは大人しく、大人らしく待ってるから。ね。 --- スクアーロがにせものになってしまい申し訳ないです(-"-;) 甘い話…というか純愛になりましたでしょうか…?あまりなってないような気がしまごほごほ こんなものでよろしければ受けとってください(´`;) |