がしゃがしゃと袋が大きな音を立てながら私の腕に吊られている。中のお菓子の量は異常だ。なんでじゃんけんに負けちゃったんだろう。はぁ、と、ため息をついて、今頃自分の部屋でくつろいでいるだろう友人たちを思い浮かべて、もう一つ。人気の無い道を急ぎ足で歩みながら、思わず零れそうになる欠伸を噛み締めたときだった。 「にゃーご」 「あのー、すみません。道をお尋ねしたいのですけど」 猫を抱えて人懐こい笑顔を浮かべた外国人の女の子が、いやに流暢な日本語で、話し掛けてきた。 「ここから×××へ行くには、どうすればいいですか?」 「あっ、それなら、もしよかったら案内しますよ」 「わっ本当ですか?ありがとうございます!」 にこにこと笑顔を浮かべている女の子は、もしかしたら私と同じくらいの歳だろうか。 「引っ越して来たばかりで道がわからないものですから迷ってばかりで、ほんと助かりました!あなたと会うために2日もさ迷っちゃったよ!来るの遅れちゃってほんとにごめんね!」 あれ、そういえば猫は何処にいったんだろう。うまく働かない頭に最期に響いたのは、彼女の謝罪の言葉と、何処からか微かに聞こえた猫の鳴き声だった。 「にゃーご」 とんでもないものを見てしまった。これは面倒なことになる前に引き返して、別な道を行った方がいいだろう。血の水溜まりが広がる道に背中を向けて、 「あれ、」 「あ」 しまった。目が合った。 「こんにちは!銀ちゃん!」 「…こんばんは」 「あっ、そっか、今ってば夜だね!こんばんは!」 「その、とりあえず警察に行きますか?」 「え、…えええ?そりゃないよ銀ちゃん!」 「それじゃあ、もしかして私のこと、殺そうとしてますか?」 「そうだね!仕事だし本当はそうしないといけないんだけど、ね!あのさ、友達になろう?私たち、きっと仲良くなれるよ!」 「随分と突飛な…らしいといえばらしいですが、少し、ナマエさんらしくないような気が」 「夢だからね!」 「ええ、そうですね。まぁ、夢ですしね」 「お互いがお互いでなくて当然!」 「私たちが会ったことも話したことも、初対面なのに知っていたことも全て必然」 「そして偶然でもある、よね!」 「起きたら全て忘れていることですが、いいかもしれませんね。今このときだけでも、友達で」 「やった!でもそろそろ、時間切れだね!」 「にゃー」 「ほら、来た。次は、」 「そうですね。次があれば、」 目が覚めた。いつも通りの朝。ご飯を買いに行こうと骨董アパートから出て、なんとなく、…そう、なんとなく、一件の家に目がいった。 「次、は?」 そういえば私は、夢を見ていた気がする。多分それは、ちょっとだけ楽しくて、ちょっとだけ嬉しくて、ちょっとだけ寂しい夢。 「ナマエちゃん、おはよう」 「…」 「…」 「…きっと、戯言だよね」 「ナマエちゃん?」 「あっ!いっちゃん!おはよーございます!これからジョギングですか?」 「まぁね」 「行ってらっしゃーい!」 「うん。行ってきます」 いっちゃんがいなくなるまでぱたぱたと手を振って、ゆっくりとおろした。私はなんだか虚しくて、少しだけ、笑った。 「次は、本当の自分を見せるよ」 どこからか、 微かに猫の鳴き声が聞こえた --- 不思議系の話になってしまいました…わかりづらくてごめんなさい… そして銀ちゃんの魅力が引き出せないどころか別人に…(´x`) こんなものでよろしければ受けとってください…! |