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ツァ●トゥス●ラへの階●×稲妻



痛みで飛びそうになる意識をぎりぎりのところでつなぎ止めて、がくがくと震える膝で無理矢理立ち続ける。―いい成績を残して、早く帰らなきゃ。その思いだけが、私をこの場に立たせていた。けれど、私の今の"ご主人様"はてんでダメだった。おそらくパルスにどっぷりと浸ってしまったのだろう。にやにやと寒気のする気味の悪い笑みで、早くこんなところから消えてしまいたい私たちを戦わせる。毎回毎回、勝つか負けるかの瀬戸際まで勝負を持っていき、私たちが苦しんでいる姿を見て笑うのだから、人間的に終わってる。プリズナー落ちもそう遠くない話かもしれない。「落ちるときは一緒だ」笑みを一層濃くさせた男と、泣きそうに顔を歪ませているほとんど裸のような女を同時に視界に捉えた瞬間、叫ぶことすらままならない程の痛みが体を襲った。ふざけるな。声にならない声が空気を震わせた。
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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