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私の作ったものを食べた皆が美味しいよって笑ってくれたらもうそれだけで私は嬉しい。でもだからって、美味しいと思わないものを美味しいと無理に言われても、それはちっとも嬉しくなんてないのだ。胃袋を掴んじゃえばいいのよ!なんて春奈ちゃんは言ったから、「すごく美味かったよ、ありがとう。」柔らかく笑うその人の笑顔に私がやられてしまったなんて、絶対に言えそうにないなとため息をついた。



「名前ちゃんが風丸くんを好きになったきっかけって何?」
「え」
料理を作るにしたって、それまでやることが無い私はマネージャーさんのお手伝いをしていた。先輩である木野秋さんは凄く優しくて、温かい人だと思う。そんな彼女が言った言葉は私の手どころか体自体を止めてしまうには余裕すぎる破壊力を持っていた。
「春奈ちゃんですか……」
「え?ううん。見てればわかるわ」
「!?」
言葉にならない叫びをあげる私に、先輩は、うまくいくわ。ぜったい。と、真綿のように柔らかい笑みを降り注いだ。
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