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「豪炎寺先輩ってかっこいいよね?」
「そう?」
「おにいちゃ…あ、いや、鬼道先輩って頭よくて女の子から人気あるよね」
「へぇ」
「円堂先輩の笑顔、素敵だよね」
「ふぅん」
「風丸先輩、優しくてカッコイイよね」
「……そうかな」
「…風丸先輩のこと、好きでしょ」
「っげほっ!げほげほっ」
「図星!」
紙パックのコーヒーを味わっていたときだった。どうにかして私の好みを知りたいらしい春奈ちゃんのために素直に頷いてあげたが、直後の一言に盛大にむせてしまったために、にやにやとした彼女が身を乗り出して顔を近づけてくる。…心配はしてくれないのか。
「名前ちゃんも、恋するんだ…!」
「失礼だよ!」
「ねぇ、今週末の連休、暇だよね!」
「えっ……え? まぁ、基本暇だけ……ど……あーいや、絶対忙しい、かなー。ほら部活が」
「嘘!二学期まで部活無いって知ってるんだから!」
「えぇぇぇ」
「前期の部費がもう殆ど無いから家庭科部は活動休止中なんでしょ?」
「……うん」
「名前ちゃん料理好きなのに……残念だよね」
「嫌な予感しかしない」
「今週末合宿するんだけど、…おいしいご飯作ってくれる人がいると、皆のやる気も上がるし…」
「…いやいやいやいや」
「それに私達で家庭科室使うの…不安だし」
「あぁ…ガスの元栓閉め忘れないでね」
「不安だし…」
「気をつけてね」
「不 安 だ し」
「…」
私は引き攣った笑みを浮かべて行くよと呟いた。
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