short | ナノ






明日で、夏休みは終わり。そのことは例年以上に心に重くのしかかる。誰もいないのをいいことに、私はホースに向かってぶつぶつと思いのたけを呟いていた。「つめたっ!」首にアイスをくっつけられたらしい。振り返ると平助がざりざりさんをもって、爆笑していた。「びっくりした…!」「なんか暗い顔してたからさー」「…宿題がね、あとちょっとだけ終わらなくて」あながち嘘でもないことを理由にして、ため息をついた(だって夏休み中はバイトや遊びで忙しかったんだ)。「終わった?」「あー、まだ」「この前皆で海行ったしね…ん、ありがと」渡されたざりざりさんを頬張りながら、この間行った海のことを思い出した。あぁ、あれは楽しかったなぁ。平助の部活の人達と(千鶴と平助以外は初対面だった)1日中騒いで遊んで…。すいか割りなんて剣道部だからか皆振りは凄いのに変なところばっかりに振り下ろしちゃって…結局割ったのは沖田だったなぁ。「でも秀は水着着なかったよなぁ…」「着たよ?ただそのとき平助はいなかっただけで」「えー!なんでだよ!」「平助と山崎で海に行っちゃったとき、私達はビーチバレーしてたの。そのときは流石に水着になったよ」「まじかよ…」しゅんとなった平助がなんとなく可愛くて、ちょっと笑った。「じゃあさ!次!次は見せてくれよな!」いきなり顔をあげた平助の勢いに圧されて思わず頷くと、一瞬で嬉しそうな笑顔に変わった。「よっしゃぁぁぁぁ!」ホースを片付けながら笑っていると、あることに気付く。「次って…来年?」「ん?ああ、そうだけど」「そっか…うん、来年も、行こうね!」「おう!」それからホースも片付け終わって、帰ろうか、と言う。海に行った後くらいからは、私達は一緒に帰っていた。まるでカップルみたいだと、千鶴にまで言われてしまった程だ。ふと私にあわせて歩いていた平助が、立ち止まった。「?どうかした?」「あ、あのさぁ」「うん」「宿題、まだ終わってないんだよな」「うん」「じゃあ、明日、…俺ん家で一緒にやんね?」「え、と…」「土方先生から明日は水やりないって聞いて俺も部活休みだしちょうどいいかなぁ!って!あっほら夏休み最後だし一人で宿題は寂しいじゃん!?」「うー、ん」「…ダメ、かな」子犬がそこにいた。こうなると私にはもう断るという選択肢は残されていない。いや、私だけではなく、この学園のほとんどの女子にも同じことが言えるだろう。千鶴にだって、断ることは難しい。「、いいよ」「よかったぁ」緩んだ笑みを見ていると、私も思わず笑んでしまう。平助が笑うだけで私も笑えるだなんて、末期だなぁ、と思うけれど。「じゃあな、また明日!」「また、明日」さて、明日は何を着ていこうか。
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