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 ねえ。振り向くと、艶やかなパーティドレスに身を包んで穏やかに微笑む女性がいた。艶やかな髪をかきあげる動作に思わず息を呑んでしまうほど、彼女は美しく、妖艶な光を持っていた。なにか?そう帰せば微かに驚きを滲ませ、次の瞬間にはくすくすと楽しそうに笑っていた。ダンスに誘ってくれないの?そういって顔を覗きこんでくる彼女にどこか薄ら寒いものを感じて、失礼なことだとはわかっているが口を閉ざした僕に彼女はまた楽しそうに笑っていた。あなた、無駄に長生きするタイプね。そう言って僕の首筋を紅い舌でしっとりと舐めあげた。ばいばーい。今までの雰囲気とはがらりと変わって無邪気に笑うものだから、つい、伸ばしかけた手を、しかし彼女は悲しげ笑いながらひらりとかわして再び別れの言葉を紡いだ。
 次の日、ロビーがどこか慌ただしく、異様な雰囲気に包まれていた。比較的暇そうなホテルマンを捕まえて話を聞けば、一人の女性が亡くなっていたらしい。経験だろうか。漠然と昨日の彼女だと察した僕はそのホテルマンを言いくるめ、4階の隅の部屋へと案内してもらい、そこで、あの紅い舌をだらし無くさらけ出しべったりと紅黒く染まっている彼女と、約8時間振りに再開するのだった。
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