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戯×首 

卅 寨(さんじゅとまり)元澄百合学園中等部生徒/危険標本デンジャラススペシメント/開錠遊戯アンチロックプレイ/最後の曲弦師

―――

吐く息は白い。路地裏へ体を滑り込ませながら、両手を擦り合わせた。はたして生きているうちに何処まで行くことができるのだろうか。



「いーざーやーくーん?」
地を這うような低い声とともに飛ぶ自動販売機を人混みの中からぼうっと眺めていた。金髪の男と黒髪の男の攻防は、まるで日常のように街に溶け込んでいる。
ふらりふらりと人混みを抜けて街を歩く。
この街は歪んでいて、けれどそれが日常。まるで、あの場所のよう。目を閉じるといまだにはっきりと脳裏に映る彼女達は今の私を見たらなんと言うのだろう。
人には向き不向きがある。それと同じように、私には非日常が日常である方が似合っているというだけだ。
「鳶は鷹を産まず、蛙の子はおたまじゃくし……ってね」
人気の無い路地裏で、ひとり、自嘲にも似た笑みを浮かべた。

―――

この街には異常が複数徘徊している。私もその異常に含まれているのか、含まれていないのかはわからないけれど。…けれど。自動販売機を軽々と投げる男と一緒にされたくはないなあ…。
憂いの表情で手を頬にそえて、一直線に自分へと空を飛んできた四角い箱を片足で真上に蹴り飛ばした。



―デイジーさんが入室しました―
[デイジー>ばんはー^^
[甘楽>デイジーさんこんばんはー
[デイジー>あれ、今日は甘楽さんだけですか?
[甘楽>そうみたいですよー
[甘楽>そういえば今日、池袋で謎の美女が現れたんですよー
[デイジー>美女なんてその辺にいるのでは?
[甘楽>それが平和島静雄の投げた自販機を片足で蹴り飛ばしてたんですよー!わたしびっくりしちゃって…!
[デイジー>え、甘楽さんもその場に居合わせたんですか?
[甘楽>そうなんですよう!もう興奮の嵐ですっ!!
―田中太郎さんが入室しました―
[田中太郎>こんばんは
[田中太郎>そしてお久しぶりですデイジーさん
[デイジー>こんばんはーお久しぶりです^^
[甘楽>こんばんはー!
[田中太郎>ログ見ました。実はその場にいたんですけど、ほんとに綺麗な人でしたよ
[デイジー>むむむ…私も見てみたかったです…!



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