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名前
→山嵜ありさ(やまさきありさ)
→アリサ・カースティン
性別
→女
説明
→SeeingのIf話。×戯ではなく×稲妻だったらどうなってたかな、みたいな。ただ決定的に違うのは誰かに落ちること。大谷さんと仲良し。今やってるSeeingの続編が終わったらやるかもしれない…




私は、日本語が難しいとは思っていない。書くのも読むのも話すのも、まるで日本人のようだと言われていたくらいに、私は日本語も、日本の文化もよく知っていた。しかしそれは日本だけに限ったことではない。つい最近まで住んでいたアメリカもそうだ。私も始めは、おそらく他の人がそうであるように、自分の生まれた地で使われている言葉を使い、礼儀を学び、ごくごく平和な日々を過ごしていた。そんな私にいともあっさりと平和な生活の終わりを告げたのは、にっこりと微笑む、真っ白で清楚なワンピースを着た、世間一般的には私のお母さんにあたいするはずの、人、だった。
あれから何年たっただろう。私は今、そのお母さんから逃げ続けている。決して追いかけては来ないあの人から、必死に、逃げ続けている。滑稽でもかまわない。幸せを掴むことが叶うのなら。

「はじめましてー!これからよろしくね!」

にこにこと人懐っこい笑みを浮かべれば、簡単に歓迎ムード。美人なお母さんに似た顔立ちをしているから、きっと、それも理由の1つなんだろう。

「ありさちゃん、部活ってどうするの?」
「部活?」
「うん」
「そうだなあ…サッカーか、バスケかな。あ、ちなみにつくしちゃんのおすすめは?」
「おすすめ?うーん、サッカー部かな。みんな凄く頑張ってるの。楽しそうで、いい部活だと思うよ」
「ふむふむ」
「それにね、雷門中って、部活の量のわりに練習する場所があんまりないの。サッカー部なら専用の練習場所があるみたいだから…」
「なんと!いいこと聞いちゃったね!ありがとつくしちゃん!」
「ううん、役に立てたなら嬉しいな」

謙虚でいい子だ。気のいい人が多いこの学校で過ごすこれからの生活に期待を膨らませ、二つに結ったウェーブのかかった髪を揺らしながらわたしは笑っていた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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