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戯言→魔王/転生トリップ原作沿い

天津鐘 子薙/アマツガネ コナギ
元:)揺り動く鐘:チャイムスウェイブ/薙ぎ払う空:セレスティアルムゥダウン/澄百合学園卒業生
現:)高校生/クラッカー/金の亡者
恋愛要素は入れる予定のない話。匂宮兄妹と家出兄妹と人識と蝉がお気に入り。ナチュラルなツンデレが好き。天敵は赤色と変態と狐。



路地裏というものはいつだって建物の陰にあって薄暗い。そんな場所を好むような人間は、大体はいつのまにかグラスホッパーに捕まってしまうような、"雑魚"だ。音を立てて割れた暗いパソコンの画面に、割った少年達の顔が鏡のように映る。少年達に囲まれた少女はただ死人のように虚空を見つめて、呼吸のように自然に、薄く、細い声でぶつぶつと呟いている。異様な光景だった。

「死の確率は皆平等というわけにはいかない。なんでなんだろうね。なんでか、わかる?私にはわからないけど、君達にならわかるんじゃないかな。人の数だけ人がいる。人の数だけ想いがある。想いの数だけ人生がある。人生の数だけ死がある。死の数だけ殺意がある。殺意の数だけ犯罪がある。犯罪の数だけ理由がある。理由の数だけ交わりがある。交わりの数だけ愛がある。愛の数だけ私達がいる。私達の数だけ殺意がある。だから殺意の数だけ哀れんで、ね?」

ばらばらになった。少女が口を閉ざした途端に少年達は皆同じようにばらばらになり、血溜まりに沈んでいく。少女は凶器であり自身の愛器であるナイフ、揺り動く鐘(チャイムスウェイブ)を一振りして血を払うとパソコンを拾い、路地裏からごく自然な歩みで去っていった。地に伏せる肉塊など、まるで知らないとでも言うように。



「子薙ちゃん!」
「理澄?」

急に抱き着いて、それから腕を組んできた理澄の頭を撫でる。さらさらストレートの髪に指を通すと幸せな気分になれるのはなぜだろうと思いながらも学校への歩みは止めない。

「兄貴が子薙ちゃんと会いたいって言ってたんだよ!」
「一昨日会ったばっかりなんだけどなあ…」
「でも子薙ちゃん、あんまりお喋りはしなかったよ?」
「おっはー!なになに、子薙ちゃんについに彼氏が?」
「おはよう潤也でもちょっと黙れ。違うから」
「ちぇー」

ずきんと痛んだ脇腹にひきつる頬を宥めながら、「また今度って言っておいて」とやんわり断りを入れた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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