白澤が来なかった翌日。おそらく白澤が置いていったであろう缶コーヒーや板チョコにはなかなか手をつけられずにいた。たまたま来れなかっただけなのだろうか。アドレスも、電話番号も知らない。唯一知っているのは、年賀状を出すために知った住所だけだ。なんだか嫌な予感もするが、所詮こんなものかという気がしないでもない。開いていた参考書を閉じて、ゆるゆると体を解す。欠伸を噛み締めながら自室のある2階から1階に降りていけば、寝取っただの雌猫だのと教育に悪そうなドラマがながれるテレビを楽しそうに見る母親がいてげんなりする。私の性格が悪いのには、母の影響もあるだろう。
「あ、真ちゃん、はい。お手紙きてたわよ」
「手紙?」
受け取った白い便箋には、私の名前以外何もない。直接うちの郵便受けに突っ込んだらしい。母から差し出された鋏を使いその場で開ければ、私はじわじわと足元から冷えていく感覚に、動けなくなっていた。


「私はもう大丈夫です。今までありがとう。だいすき。」


『君はほんとうに天使だったのかもしれないね』





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