(ずっとずっと、私が主人公だと思ってた。雪のように綺麗で真っ白な肌、ふわふわのクリーム色の髪。姿形に文句のつけられる場所なんか無いし、性格だって健気でいい子を装っていた。それになにより、私はこの世界を、未来を、よく知っていた。)



その日、私は翌日の高校の入学式に寝坊で遅刻だなんて間抜けなことをしないよう、目覚ましを3つ設定し、意気揚々と布団にくるまり目を瞑っていた。どきどきと高鳴る心臓をおさえながら、ああこれじゃあまるで小学生だわなんて思って、ゆるゆると口角があがるのはもうどうしようもなかった。そう、このときだ。「新しい世界に興味はありませんか?」美しい声が聞こえたのは。

目が覚めた私を待っていたイベントは、高校の入学式ではなかった。1つだけ鳴った目覚ましを止めて、夢現のまま制服に着替えようとしたときにようやく気づいてしまった。青いカッターシャツに白いブレザー、白のラインが入った黒のプリーツスカート。ああ、この制服は。私はよくわからない感情を抱え、涙を流していた。


『聞こえるかいこれが僕の心臓の音だよ、』





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テーマ「人外ファンタジー」
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