ひなげし | ナノ


救われない奇跡


「皆!一カ所に固まれ!」「くそ…!なんだこいつら!」「こっちくんな!」ガラスのくつがぱたぱたと飛んで近づいてくる。いくら振り払ってもきりがない。だんだんと追い詰められていくのがよくわかって焦りが強くなる。誰か助けて…。震えるマネージャーの声がいやにはっきりと聞こえた。



「…全員いるわね。」
「はるのちゃん…どうして、…ここは…」
「話は後で。死にたくないなら今すぐこのリボンを辿って行って。」
「はるの先輩はどうするんですか?」
「私は巻き込まれてる人がいないか捜してから戻るよ。…急いで!」
こんなとき、女の子は本当に逞しい。一つ頷いてすぐに、困惑の表情を浮かべている男の子たちの腕を掴んで駆け出していった。
「絶対、戻ってこいよ。」
「わかってる…約束する。」



「ゆみか…どうして。」



私はなぜ救えないのだろう。
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テーマ「人外ファンタジー」
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