ひなげし | ナノ


苦しまずに死ねたら


少しずつ、おかしくなっている。どこかの歯車が噛み合っていなくて、そのズレがどんどん拡がっている。今度は何が、ダメなの?口の中に広がる鉄の味に吐き気をおぼえながら、ぐっと拳を握る。もう死んでしまおうか。死ねば、楽になれるのだろうか。なんて。そんなことを考えていると決まって、死ぬのは彼女。
「あ」
世界が真っ赤に染まる。轟く魔女の奇声。歓喜に震えているのか、苦しんでいるのか。細くてすらりとした足が、片方だけ。ぼとんと呆気なく落ちて、彼女の人生は幕を閉じた。ばいばいゆみか。またね。


しぬのは、くるしい?怖じ気づいたわたしが呟いた言葉に、返事を返せる人は、誰もいない。
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