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炎上する船。唇を噛み締めて立つ王女。私は急に別の世界のような感じがして、遠目にその光景を見つめていた。私は今、ここに存在しているのだろうか。

「ビビ、」
「なんですか?」
「、なんでもなーい」

へらへらと笑う自分に吐き気がした。これ以上笑っていられる気がしなくて、そっと船の中へと姿を消した。そんな私に、いったい何人が気付いてくれたのだろうか。

「…いけない。こんなの私じゃない。絶対違う…!」

うんうんと頷いて、にやり、笑みを浮かべた。違う。にやり、なんて違うだろ自分。何処の悪役だよ!
深く深く深呼吸。はい、もう一度。にたり、笑みを浮かべた。違う。にたり、なんてどんどん理想から離れていっている。何処の変態だよ!悪化してるよ、変態なら悪役の方がいいね!

「あら、何してるのよナマエ」
「変態と悪役どっちがいいかなあって」
「…頭大丈夫?」
「どうだろう…」

なんだか面白くて、くすくすと笑うとナミがにやりと笑みを浮かべた。

「悪役!」
「ぶっ殺すわよ!」
「冗談に聞こえない!」

きゃーナミに殺されちゃうーなんて言いながら甲板に出ると、異様に賑やかな皆に出迎えられた。なんだなんだいったい。

「ナマエは聞いてなかったでしょ、ビビがこの船に乗る経緯」
「いや、盗み聞いてました」
「いつの間に…」
「ナマエさんって不思議な人ね…」
「正直になっていいのよ、ナマエに遠慮なんていらないんだから」
「え?」
「馬鹿って言ってもナマエは気にしないわ。あの…アレだから」
「そうよ遠慮なく…っておいこらァ!それってどういう意味ィ!?」
「ぷひぷひ」
「プーギー…友達はお前だ…け…なんでそんな哀れんだ目で見てるの…!?」

▼プーギーの攻撃!
→ナマエは精神的に300のダメージ!
→効果は抜群だ!





満腹になったからだろうか。急に眠気が襲ってきたために今の今まで寝ていたのだが、なんだか外が騒がしかったので目が覚めてしまった。
ベッド下に寝ていたプーギーを叩き起こすと少し不機嫌そうに「フガ」と鼻息をもらした。ごめん。

「おはよー」

甲板に出るとそこには誰もおらず、景色も視界一面の青から密林のそれに変わっている。おいていかれた…?

「あ…リトルガーデン、だっけ?ちょっとなつかしいね」
「ぷひ」
「イャンクとかいたら…ちょっと楽しいね」
「ぷぃ!?」「ババコンガとか!」
「ぷひぷひぃ!?」
「アイルーがいたらオトモさせたいなぁ…」
「ぷ…ぷひぷひぷーッガッ!」

正直なんて言ってるかわからないけど、面白かったので笑ってみた。ら、ピンクの顔が紫に変色していって、ビビった。いやマジで。

「え?」

ふ、と自身に覆いかぶさる影に顔を上げると、そこには明らかに、明らかにビリビリしてる、
「ふ、るふる……?」

白くて綺麗なふるふるさん…わからない人は調べてみよう!
そして爆発音。さらに噴火音。しかしそんなものに構ってなんていられない。余裕?あぁ、捨てた棄てた。だって、

「私の双剣、水属性ィィイ!!」

雷も効かないんだけどさ!でも持ってないからいいんだけどさ!
叫びながら猛だっしゅ。脱走。逃げるが勝ちってよく言わない?え、負けるが勝ち?いやいやだってこれ負=死みたいなかんじじゃん私死にたく無いから無理無理。
もう覚悟を決めるしかないのでないでしょうか今は亡き(死んでないけど)リーダー…じゃなくてもいいからお願い誰か答えて!切実に!

「あああもうプーギーは船に戻りな!」
「プィ!」

言われた通りに真っ直ぐ船に向かうプーギー。もちろん振り返りすらしない。
べ、別に寂しくなんてないんだから!
ほんとだから!半泣きになりながら私は双剣を抜いた。
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