long | ナノ


01:08


「器物破損…ていっても、限度があんだろ。厳重注意だけじゃすまされないぜ?」
「出夢に言われるなんてわたしも終わり…か」

薄暗い金工室でやれやれとため息をつきながら、しかし手元はせわしなく動いている。

「ぎゃははは!まだ始まってもねぇのによ!」
「それはそうと、理澄ちゃんは元気?緑中だっけ」
「元気元気。名前ちゃんに合わせて欲しいんだよ兄貴!って毎日言ってくるんだ。そのうち会ってやれよ」
「会いたいは会いたいけど、さすがにここには連れて来れないでしょ?わたしはこの子を早く完成させたいの。それまで理澄ちゃんには会えないわ」
「そりゃいったい何ヶ月後の話だ?」
「そんなにはかからないと思うけど…」
「あいつも忙しいからなって言うたびに冷ややかに僕を見る理澄がちょーこえーんだよ…」
「なんでそんな…」
「わかんねぇ…」

おそらく綱吉が聞けば若干引き、黒川が聞けば駄目だこいつらと頭を抱えそうな会話を交わしながらも、夜はだんだんと更けていき、物語は静かに進んでいく。彼女たちの未来が180度変わってしまう、否、元に戻ってしまう可能性を秘めた争いが、すぐそこにせまっているとは誰も知らず。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -