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ill-natured


こんこんこん。とんとん。こん、こん。とん、とんとん。周りと音が違う床が1つ。ここから入るのか、と、強張った頬をおさえ少し躊躇ってから隠し扉の上で跳んだ。



「誰もっいないとかっ…!!!」

部屋の隅に座り込みじっと待つこと数分。こつこつと叩く音が聞こえてぱっと顔を上げた。…。そして誰も来ない。なぜだ。

「わたしって運が無い…!?」

このまま試験に落ちるのだろうかとため息をついてふて腐れていると、急に体に振動が響いた。半分、寝ていたらしい。我ながら緊張感の無い…。

「(嘘だろ)」

ゆさゆさと肩を揺すられて顔をあげると、いつの間にか腕にバンドをはめた5人が立っていた。まったく気づかなかっただなんて、ヤバい。

「あ、起きた!オレ、ゴンっていうんだ。こっちはキルア、レオリオ、クラピカ、トンパさん。君は?」
「ナマエって呼んで。よろしく。ゴンと、キルアと、レオリオと、クラピカと、トンパ」
「よろしく!あと、はい。これ、ナマエのやつ」
「ありがとう。それで、これ始める前に一つ」
「……」
「実はさぁ、まともな教育受けてこなかったからハンター文字が読めないんだよね」
「珍しいな。それでどのようにして知識を得たんだ?」
「小さな島国の伝統的な文字。あんまり詳しくは言えないんだけど、その島国から出たことなかったからね」
「…すまない」
「気にしないで。だから、その、申し訳ないのだけれど、これ、読んで欲しい」

指を差した先にあるプレートを、その近くにいたレオリオが読み上げた。聞かなくてもわかるけど、なんて心の中で呟いていると、私が知っているはずの内容とは少し違うことに気づいた。『この中の誰か一人が、決定権を持っていない』

「こりゃまた随分と意地悪な問題だな…」
そう呟いたトンパを一瞬だけ横目で見て、憂鬱さをため息として吐き出した。こいつか私だ。間違いない。
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