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I wonder what do you say ?


辺りに充満する血の臭いに眉を寄せた。傍らに俯せで横たわり血を流し続けている金髪の女を一蹴にして仰向けにすると、瞳は既に光を失っていた。無表情で引き返しながら、私みたいなやつに殺されるなんて運がないんだなぁと考えてから、いやでも私はまだいい方だと思いなおし、うんうんと頷いてボストンバッグを持ち直した。
もうすぐ新しい住居に着くというところで、ふと血の臭いがしないかと服を嗅ぐ。臭いはしないとは思うけれど、念のため、だ。髪の毛も嗅いだが、大丈夫だった。多分。臭いというのは案外自分ではわからないこともあるので、困る。でも仕方ないじゃないか…好きでやってるんじゃない。

地図の場所に着くと、なかなかに古いアパートが建っていた。私が今まで住んだり潜伏したり泊まったりしていた場所とは全く違う種類のアパートだ。少しだけ、ほんの少しだけ、フィーロの家に似ているかもしれない。流石は家賃一万円と言うべきか。この環境に慣れるまで、時間はかかるかもしれないが、なかなかに、楽しそうな雰囲気を纏っている。なんだか楽しくなってきて、知らず知らず笑みが浮かんだ。

アパートの前に、ポニーテールの女の人が立っていた。夜中に着くと連絡はしていたが、まさか、ずっと待っていたのだろうか。

「あの…すいません!こちらの大家さんですか?」
「うん、そうだよ。浅野みいこだ」
「今日からお世話になりますナマエです!日本に来たのは初めてなので何かと迷惑をおかけするかもしれませんが何卒よろしくお願いいたします!」

ヤグルマさんに教わったことを言いきって、何処か違うところがあっただろうかと思ったが、大家さんの表情は変わらないので大丈夫なはずだ。大家さんは頷いて、よろしくと言った。



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テーマ「人外ファンタジー」
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