long | ナノ


序章


1と0、すなわち有と無。どちらがいいかと聞かれたのなら、彼女、罪口名前は至極つまらなそうに「どちらも」と答えるだろう。なぜか。それは酷く簡単で、単純な問いである。彼女は、こんどは至極面倒そうに「必要だから」と答えるだろう。そこには決して深い意味はない。ただ彼女は、周囲に多くを求めることはなかった。何かを求めたとしても、それは周囲が彼女に求めるものよりはるかに少ない。彼女はそれで無意識下に満足していたし、不足に思うことなんて、なかった。けれどそれがこの普通の学校では通用しないことに彼女は戸惑い、苛立っていた。自身が他人に求めるものは変わらないはずなのに、他人が自身に求めるものは昔よりはるかに多い。女の子同士の会話、親との関係、男の子との距離感、先輩や先生とのつきあいかた。普通の生活を気に入り、普通に生活していたとしても、血濡れた昔の生活が懐かしいときがあった。そんなある日の9月下旬。それは誰が望んだわけでもない。再会から始まっていたその物語は、人知れず幕を上げていた。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -