long | ナノ





「な、投げ出されてしまった…」


みんながクジラに飲み込まれたとき、なぜか私は海に投げ出されてしまった。必死で岬に攀じ登り、ぜぇはぁと息を整えながら皆を待った。
水を吸ってずしりと重くなった服を脱いで思いきり絞っていると、クジラから船が出てきたのが見えて、若干目が潤んだのはもうどうしようもない。


「おーいみんなぁ!」
「ナマエー!」
「死んだかと思った!」


うんあたしも正直溺死すると思ってました。パニックで。プヒプヒ言いながら飛び出してきたスイカ柄のプーギーを撫でながら、このこが生きてたことに深く感謝した。


「ナミありがとう、正直食べられたかと…」
「別にいいわよ。貸しにしておくから」
「……肝に命じておきます…」


その後クロッカスさんと挨拶して、皆がログポースとかこれからのこととか話してる間にルフィと二人で食べ物の取り合いをしていた。


「ふぉまへひょへふうや!(おまえそれ食うな!)」
「早いもの勝ちでしょってあ!」
「はひぁいひょにょにゃひあろ(早いもの勝ちだろ)…ほっ!?はひゃがうへえよ!(おっ!?鼻がうめえよ!)」
「あ。ほんと美味しい!」


本当に鼻は美味しかった。満腹という幸せに浸っていると恨めしい視線を感じてはっと気付いた。プーギーの分まで食べてしまった。


「ふぅー食った食った」
「おまっこれ全部一人で食ったのかよ!」
「あ、私達二人で食べました」


今更残すことなく全て食べきってしまったのが恥ずかしくって、小さく挙手して、それから小さく美味しかったですと言うと、サンジは幸せそうにくるくる回っていた。阿呆だ。阿呆がここにいる。しかしそれから何故かルフィとサンジが原作通りの展開を見せ、海に蹴り落とされていった。なぜだ。




そんなこんなでウイスキーピーク。私はルフィとともにどちらが多く食べれるか勝負して、残念ながら(いや、まぁ当然だけれど、)負けてしまったので、それからはお酒を飲みながら歳の近そうな人達とお喋りをしていた。


「よくそんなに食べて太らないねー」
「羨ましいなぁ」
「運動量が違うからよ!」


なんて言いながら、半年前まではでっかい猿とかでかすぎるゴリラとか炎や毒をどばどばはいちゃう鳥とか、本当ルフィが喜びそうな怪獣ばっかり狩りしてたんだよなぁなんて思って笑っていると、仲間はほとんど寝ていたからそろそろ私も寝ようかな、と言ってソファに寝転がった。しかし狸のつもりがいつの間にか本当に寝てしまっていたらしい。くそぅ。
いたぞ!こっちだ!なんて声が聞こえてきた方向へ、できるだけ足音をたてないように走っていくと、屋上に立っているゾロと目が会った。


「流れ玉に注意」


その辺に横たわっているやつらから奪った銃の安全装置を外してニヤリと笑うと、同じようなニヤリとした笑みが返ってきた。
だんだんと腕に伝わる振動に痺れが混じってくる。やはり慣れないものは使うべきではないと弾切れになったそれを向かってきた男の額目掛けてぶん投げた。


「!」


多分だけど、私今もの凄くいい笑顔。倒れた男の手から取ったヨーヨーのゴツいバージョンを見ながら、私を囲む男達にニヤリと笑みを贈った。


「ストラーイク!」

カキーン

「ダブール!」

カキーン

「ターキー!」

カキーン

「あーなんだっけー!」

カキーン

「って何恐ろしいことやってんだテメェはァ!!」
「え、見てわかんない?男の急所を…」
「こえぇよ!」
ゾロからお叱りをうけたので、なかなかの重量があるそれを今いる屋根の上から下に群がる人々の頭に落としてから、さっきボーリング気分で倒した男達の武器を盗んだ。いやまあ、もらった、と読んでいただけると嬉しいけれど。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -