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She wonder what did you do .


少女は心底楽しそうな笑みを浮かべて明らかに重そうなボストンバッグを軽々と持ち、慣れ親しんだ街を駆けていた。
そして少女は路地裏を曲がった先にペールグリーンの後ろ姿を見つけると、特攻よろしく減速無しで思いきり突っ込んでいく。それを見た周りは「お、また来たな」と視線を投げるが何もいわず、というよりは何か言う前に少女は突っ込んで行った。

「っ」
「あは!おっはよーフィーロ!」
「その会うたび突っ込んでくるのやめろよな…!」
「大丈夫だよ!最後だから!」
「は?」

こめかみの辺りを片手で押さえて口元をひくつかせていた彼は、彼女の言葉にすっとんきょうな声を出し眉を潜めた。この言葉には流石に周りも放っておこうとは思わなかったのか、今まで黙っていた口を開いた。

「何処行くんだ?」
「日本!英語の他に日本語しか話せないからね!」
「何で?」
「観光!」
「…」
「……」
「………」
「…………」

「…う、嘘だよごめんねだから皆そんな白けた顔で見ないで!あ、あのね!私家出することにしたの!家出ってか縁切り?あれ…勘当?とにかくもう戻らないつもりだけどフィーロはいつか日本に行くんでしょ?そんとき連絡してね!案内するよ!あ、これ連絡先ね。変わったらこっちから連絡するってか暇なときとか電話するね!」
「ちょ…」
「あーっ!もうこんな時間!飛行機間に合わなくなっちゃうからもう行くね!あ!私が日本に行くことは家の人に言っちゃダメだよ!殺されちゃうからさ!私が!そんじゃあさようなら皆さんお元気で!」
「…」

やけに「!」の多い喋り方をする彼女は本当に急いでいるらしかった。あちこちにバッグをぶつけながら再び走っていく少女を見送って、童顔の不死者とその仲間たちは顔を見合わせて同じことを思った。

「こんどは何をやらかしたんだ?」

誰かがぽつり。口に出した。
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