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伸びた髪を結う


「お祝い、ですか?」
「そう!お祝い!」
お家にお誘いに来てくれた笹川さんに大人しく着いていくと、回らないタイプお寿司のお店に招待された。お金持ってきてないですと言えば、ランボ君の退院祝いなのとにっこり微笑まれて、仕方ないですねと紙で作られた安っぽい飾りを手に取った。



「えっ!?名前ちゃんもいたの!?」
「はい。ヒメちゃん飾り付けのお手伝いもしたですよ!」
「あ…そっか。祝勝会だもんね…あはは…」
「?あと、西条ちゃんもです」
「はじめ、まし…て」
「うわあっ!?え、あ、いや、一応会ったことあるけど…」
「…、…?」
「まぁいいや…」
とりあえず肩を落とした沢田くんは置いておいて、ひょいひょいと小皿に積んだお寿司を西条ちゃんに手渡した。
「…」
「えっと、食べないの?」
じっとお寿司を見つめている西条ちゃんに、少しびくつきながら聞く沢田くん。見ていて眠くなりそうな光景である。
「初めて、食べま、す」
「えっ」
「…」
「…」
「おい、し…ゆらぁ、り…い」
「おっ?ありがとな!お前も来てたのかー!」
「西条玉藻って言うですよ」
「よ…ろしく…おねが、い、しま…すぅ」
「俺は山本武、よろしくな!」
がやがやと賑わう寿司屋の中で、不自然でない程度に笑みを貼付けて西条ちゃんの背中を押した。平和な日々は、そうと感じられるうちに噛み締めないと、もったいないから。
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