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滑稽に騙し合い


そんなくだらないことで、こんなくだらないことをするために、そんなくだらないもののために、ヒメちゃんと西条ちゃんは出会ったんですよね。西条ちゃんと会えて正直嬉しいです。でも出会い方は正直残念です。それにこのお話は正直悲しいです。結局ヒメちゃんには、どうしたらいいのかわかりません。教えてください、ししょー。

会いたいです、ししょー」

ぽつりと呟いた言葉は誰にも拾われることはなかった。聞いていたかもしれない唯一の彼女は今、袖を掴んで立ったままこっくりこっくりとふねをこいでいる。ポシェットの中身はあのときのように血に濡れてはおらず、綺麗な黄色をしているが、なんだか物悲しい。

「…ゆらぁ……………………りぃ……」
「私達の出番はあまりないみたいで、よかったです。ね、西条ちゃん」
「……ゆ………」
「あのザンザスとかいう人は結局、愛情に対して酷く歪んでしまっていたですね。まるで、…」
「らぁ……………」
「帰りましょうか」
「…………りぃ…」
「あ、苗字さん…!」
「ヒメちゃんは、約束を守りましたから。今度は沢田くんたちが守る番ですよ。人類最強の真っ赤なお姉さんを探してください」

月明かりが瞳に反射してゆらゆらと怪しげに輝いている。ぎらぎらと光っているのは、西条玉藻の持つ不格好で大きな2本のナイフではあるが、それら全てが何か怪しげで、まるで人ではないようで、ぞわり、と鳥肌が立った。
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