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使えないなら切り捨てろ


返って来た小テストの点数を見て、思わず頬が引き攣った。また補修を受けなければいけないのは少し、いやかなり憂鬱だった。私の表情を見た友達は、呆れたように笑う。それは補修が初めてではないことを示していたが、特に誰も気にする人はいなかった。

「来週、一緒に帰ろうね」

そう言って笑った友達に笑い返した。




ぐらりと視界が揺れて、気付けば地面に倒れこんでいた。意識が飛びそうになりながらも、西条ちゃんが私のことを助けてくれることを、期待してみる。

「お。ナイフ女はっけーん」
「…う、」
「助けねぇよ。裏切り者」

ちらりと視線を向けると、おそらく目が合ったのだろう。不機嫌そうにこちらを向いたまま、舌打ちを一つ。

「こんなバカそうで弱そうなやつに言いくるめられるなんて、王子がっかり。さっさとこうやって、殺しちゃえばよかったんじゃね?」
「…はぁっ、はっ」

ひうん、からん。曲弦糸は指一本微かに動かせるだけで、自由自在とはいかないまでも向けられたナイフを弾くぐらいのことは、できる。
がしゃん。そしてポールが倒れ、私の目の前に指輪が転がる。
「ゆ、らぁ、り、いぃ」

もちろん弾いたナイフをポールに当てただとか、そんなわけではない。そしてこの場に限っては、闇突きが倒した以外になにかがあるわけがないのだ。

「しししっ、まじかよ…!」
「ししょーが言ってましたよ、バカって言うほうがバカなんです。はい、西条ちゃん」

カチ、と音がなり、解毒。にっこりといつもの笑みを浮かべてベルを見れば、その笑みはやはり引き攣っている。

「王子退散ー」

そして、ひらりと校舎の中に体を滑り込ませ、あっというまに姿を消した。
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