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03:56


※流血


ぽた、と頬を伝い落ちた血液を拭った。人喰いの力は衰えてはいないらしく、先程から木っ端みじんにされる木々やコンクリート、機械の部品が体中にぶつかりとても痛いのだけれど、それに比例するように深まっていく笑みを止められる気がしなくて、大した抵抗もせずに自身の欲に身を委ねて体を動かしていた。
金工室にあった機械はすでに粉砕されている。並べてあった木製の机も椅子も、窓硝子ですらも全て粉々になっており、彼の定める一時間も目前に迫っていた。つまりは、終わり。


「時間だ」


ぴたりと彼が動きを止めて、途端に消えた殺気に安堵したのだろう、名前はゆるゆると地べたにしゃがみ込んだ。ふと出夢に視線を向けると、どこか遠くを見るようにしてぽつんと立っている。シンプルな黒のTシャツを着た彼の腰は細く、まるで女の子みたいだとあながち外れてもいないことを考えながら、その視線を辿った。なにもいないそこには、確かに誰かがいたような痕跡があった。
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