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「ははーん、なるほどなるほど。どーりで罪口商会のマークが入った武器が出回っているわけだ」
機械音が響く金工室で、少女と少年は笑みを浮かべ言葉を交わしていた。14年振りの再開は嬉しくて嬉しくて仕方がないのだと主張するかのように、名前は緩む頬を引き締めようとはしなかった。
「だって、つくるの楽しいから」
あちこちの機械を動かしながら、ちゃくちゃくと1つの形が出来上がっていく。見たところその素材はホームセンターで売っていそうなもので、少年…出夢は、面白そうに笑みを深めた。
「出夢は運がいいよね。明日にはこれも完成するはずだから、そしたら久しぶりにさ、試させてよ」
「いいねいいね、僕ってば名前と会うの久しぶりすぎて手加減できねぇかもだけど、まぁ頑張って遊んでくれよな」
機械を止めて、カタリと音を立てて椅子から立ち上がると、自身よりも背の高くなった出夢が真後ろにいたことに気付き微かに驚き、名前は目を瞬かせた。
楽しそうに笑った出夢につられるように笑うと、出夢は満足そうな笑みを浮かべて、体をドアの方へと向けた。名前に見えるよう挙げられた片手と言葉は確かに別れを告げていて、けれど名前は少し楽しそうに言葉を返した。
「また後でな、名前」
「また後でね、出夢」