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08:12


罪口名前は後悔しない。


自身の行動にはしっかりと責任を持っているつもりだし、何より過去のことをいくら言ったとしても、現在が変わるわけではないからだ。もちろん、だからといって過去の失敗を無かったことにするほどに逃げることはない。彼女は失敗も成功も、全て自身のものとして許容する。


だから例えば、大切な友人を何も聞かずにただただ親切心から助けるという、ただただそれだけで。"ただ友人を助けた"というだけで、圧倒的な橙と、友人である出夢の圧倒的な暴力に板挟みにされ、18年間のその輝かしいとも言える人生を閉じたとしても、それが全くの犬死にだったとしても、かつて死にはしなかったものの似たようなことをして後悔した彼のようには彼女は全く後悔なんてしないし、ましてや誰を恨むこともない。だからこそ彼女は、出夢の友人だったのだ。


「おはよう、京子、花」
「あ、名前ちゃん!おはよう」
「おはよう名前」
「なんか騒がしいけど…転校生がくるのかな」
「凄い!当たりだよ!名前ちゃんってそういうのズバッと当てちゃうよね!」


まぁねー、と返事を返しながら自身の席に着く。


「知ってる?」
「何を?」
「真夜中の金工室の話!」
「知ってるよー」


感じるのは懐かしい気配。この日を境に"普通の女の子"の平和な日常は幕を閉じるのだろうと確かな確信を持って微笑みながら、静かに瞼を降ろした。
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