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「ん?なんだお前」

じっと死刑台を見つめる麦藁の肩をぐっと掴んで私の方を向かせた。私はといえば、ぜぇぜぇといいながら息を整えている。情けないと言われても仕方ない姿である。

「けほ…あなた、麦藁海賊団の船長さん…よね。私はナマエで、こっちは子豚のプーギー。よろしく!」
「俺はルフィ、よろしく!」

にししと笑っているルフィを見ながら汗を拭うが、思っていたより汗はかいていなかった。

「ね、お願いがあるんだけど」

二年半もの間伸ばし続けた髪の毛を片手で払う。正直欝陶しい。

「私を、仲間にしてください!」
「ナマエは強いのか?」
「うーん…そうだなぁ…自分ではよくわからないけど…どっちかって言ったら強いと思う!」
「強いのか!」
「えー…いや…うーん…」
「強いんだな!」
「……うん」
「よし!ならいいぞ!ナマエは仲間だ!」

頷かないと仲間になれない気がしたから、頷いたけれど。…そんな簡単でいいのか船長。うんうんと悩んでいる私を尻目に、彼はずんずんと死刑台の方へと歩いて行っている。

「何するの?」
「ちょっと登ってくる」


…あぁ、そうでしたね。
「きたっ!逃げろォ!おい道どっちだ!?」
「ルフィー!こっちー!」


周囲の喧騒と強まる雨音に掻き消されないよう声をめいっぱい張り上げてルフィを呼んだ。ここ数カ月、賞金稼ぎとして名を馳せた私が海賊に協力していたためか、野次馬達の表情に驚きの色が混じっていた。ともに駆け出しながら緑と黄色に簡単に自己紹介と仲間になることを伝えているとき、ばんっ!と、たしぎ登場。

「先行ってろ」
「おう」

平然と横を過ぎていくルフィを見ながら、すごいなぁ、と思う。私なら立ち止まってしまうかもしれない。

「何だ誰かいる!」
「またか」
「……ん」

双剣に手を添えて、構えをとる。ゲームじゃ絶対に出来なかった走り方だ。ルフィを捉えた真っ白なもくもくに切り付けるが、逆に剣が絡め取られてしまう。ここでいいところを見せずにいつ見せるのか!疲れるとか言ってられないわよナマエ!


「鬼 人 化 !」


ズバァンと音を立てて煙を払った瞬間に、突風に襲われた。え、嘘、マジか。ごろごろと転がってから立ちあがり、ドラゴンが立っていたのを見た瞬間に理解した。

疲れ損かよ!
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