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麦藁を装備している彼を見た瞬間に私は我が家へと走りだした。ばんっ、と勢いよく玄関を開けて、このときのために海賊から巻き上げ貯めてきたお金と宝石、そして着替えなどを鞄に詰めながら叫ぶ。


「プーギー、行くよ!」


最後に寄ってきた子豚を抱き上げて家を出ると、ちょうど通り掛かった隣のおばさんに話しかけられた。

「また海賊狩りかい?」
「いえ、今日は、違います」

すっかり近所で有名になった私は、それから二、三言葉を交わしてから駆け出すと遠くに雨雲が見えた。はたして間に合うのだろうか。



二年前、私はモンハンの世界へとトリップした。元の世界へ帰れないことを理解した後は、ショックで何も手につかない程だったけれど、豊かな自然と温かな村人達の中で過ごし、そしてアイルーやこの子豚のプーギーに癒され、私は立ち直った。今だに皆で楽しくゲームをしていたころの夢に見てはうなされたりもするけれど、寂しくはなく、悲しくもなかった。しかし私は気づいてしまった。知ってしまった。そのときまでは、私はここがモンハンの世界なのだと、そう思っていたのだ。けれど実際はワンピースの世界の中の、"とある島"が、モンハンの世界に酷似…否、モンハンの、世界だったのだ。その島は比較的大きな島だった。歩いて一周しようと思ったら数週間はかかる程の。

ワンピースの世界だと知ってからの私の行動は迅速だった。

幸か不幸か、それなりに悪名のある海賊船がその島に停泊していた。その海賊達を海軍へ突き出した後、その懸賞金でローグタウンへと行きつき、今の生活へとありついた。居酒屋でバイトをしながら生計を立て、海賊を狩りお金を貯める。その生活にも慣れ、ローグタウンの海軍の人達に顔を覚えられ始めた今日。私は待ちに待った麦藁帽子の彼を見つけたのだった。
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